


クリーニング後プリーツが取れた場合はどうする?

自宅で洗濯することが難しくアイロンがけも二重線になっては困るため、制服のスカートやスラックスをクリーニング店に任せる人も多いですよね。
しかし、返却されたものを確認してみると「プリーツや折り目が取れてまっさらな状態になっていた」「裾の部分のプリーツが甘くなっていて見栄えが悪くなった」それとは逆に「動くたびにふわふわと揺れるソフトプリーツスカートがガッチリプレスされてしまった」などトラブルも多いようです。
激安のチェーン店などはシワを伸ばすだけでプレスをしない悪質な店舗も存在します。ソフトプリーツの衣類と勘違いしてしまったり、担当者の技量不足でプリーツのバランスが悪くなったまま返却ということもあります。もちろんこれは全てお店側の過失です。保証期間内に事情を説明すれば対応してくれる店舗は多いので、泣き寝入りせずまずは交渉してみましょう。

預ける時はプリーツ加工についての確認を
先ほど店の過失となると言いましたが、受付の時点でトラブルを回避することもできるので利用する側としてはクリーニング店のコミュニケーションも重要です。プリーツをはっきりさせたいのでプレスをしっかりかけて欲しいという要望やソフトプリーツ素材であることをあらかじめ伝えておきましょう。
店舗によっては、通常のクリーニングではプリーツが落ちやすくなることを説明してくれることもありますよ。そもそも雨に濡れたり、座りジワが出来やすくプリーツや折り目の持続性は弱いため、通常クリーニング仕上げのプレス加工でしっかりアイロンされていても返却までに弱まってしまうということもあるようです。
シロセット加工やリントラク加工で折り目長持ち

①プレス加工(熱処理)
折り目加工でもっとも馴染み深く低価格で行える方法がアイロンのプレス加工です。自宅で行うアイロンとの違いは、繊維の水素結合を利用し、くっきりとした折り目を復活・維持することができます。
制服のスカートやスーツに使われることが多いウール素材は、水に弱く濡れることで生地が伸びてしまうことを逆手に取り、適切な水分量を保ちながらプレスすることで水素結合させ折り目をつけています。しかし、一時的にはいいですが当然ながら再び水に濡れることで取れてしまうため、長持ちさせたい場合は不向きな加工と言えます。
②シロセット加工
日本に導入されてから50年以上経ち世界でもっとも信頼される加工がシロセット加工です。ウールやウール混紡率50%以上の衣類の形状記憶加工に特化しています。加工液の主成分は天然アミノ酸の一種であるL-システインが使用されており、化粧品や医薬品にも使われる成分です。
美容院でパーマをかける原理と同じで、加工液(パーマ剤)を衣類(髪)に染み込ませ蒸気でプレスすることで形状記憶加工を施します。プレス加工と大きく違う点は水に強いというところ。70℃のお湯に30分つけておく実験でも折り目がなくならないと実証されています。
価格はプレス加工より少し高くなりますが、効果の持続性はワンシーズン(3ヶ月)~1年ほどあり、ドライクリーニングの影響を受けないためお手入れしやすく便利です。効果が薄れてきたなと思ったら、霧吹きなどでたっぷり水を含ませてから自然乾燥させることで再び折り目が復活します。
営業職の旦那さんでスーツを酷使されていたり、長時間座って座りジワの出来やすいデスクワークの方、学生の制服などに適している加工です。
③リントラク加工
折り目に特殊な専用樹脂剤を生地の裏側に塗り、折り目を固める加工法がリントラク加工です。シロセット加工とあまり変わりはなく、ドライクリーニングにも適応し、持続性や価格差もほぼ同様です。
大きく異なるところは「ほとんどの生地に加工可能」ということです。しかし、樹脂を塗布するため薄手で透けるような素材は液漏れしたり、裏起毛のもの、モヘア繊維が混用されている衣類は摩擦で塗布部分に穴が開いたり裂けることがあるため使用することができません。
