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【緊急】今すぐ生乾き臭を除去するには
原因や対処法を解説する前に、「今着たい服がある」「これから出かける」という方に緊急用の対策をお教えします。
1分も時間がない人:市販の消臭剤で対策
ファブリーズやリセッシュなどの消臭剤を使いましょう。市販の消臭剤は「即効性」という側面で見ると何よりも効果が高い方法です。消臭剤は臭いを無臭化(殺菌ではない)させる働きがあるため、一時的な対策として有効です。
しかし、長期的(2~3時間以上)な対策としては今ひとつであり、殺菌効果があるものではないため時間が無い方限定でおすすめします。
30分くらい時間がある:アイロンをかける
臭いの原因は「菌」です(詳しい菌の解説は後方にまとめています)。主に臭いに関する菌は熱に弱い性質があるため、煮沸消毒・熱湯消毒などが有効です。しかし一旦お湯に浸してしまうと時間がいくらあっても足りないため、応急処置としてアイロン(スチームアイロンが好ましい)で熱消毒します。
その上にファブリーズなどの消臭剤を吹きかければ一時的な対策として効果を発揮します。

そもそも生乾き臭ってどんな臭い?

生乾きの原因は「菌」です。その菌の種類は、皮脂汚れやタンパク質の酸化、それによって生まれる雑菌類。例えば小学校の頃、牛乳をこぼしてしまった経験は誰にもあります。それを雑巾で拭き取りちゃんと水で洗い流しても翌日にはおなじみの「雑巾臭」となって生まれ変わっていましたよね。その理由は、臭い菌(牛乳に含まれるタンパク質)が奥まで染み込み落ちきれていないからです。
生乾き臭の原因も同じです。染み込んだ臭い菌を、正しい方法で洗い落とさない限り臭いは消えません。
モラクセラ菌だけが臭いの原因ではない
よく生乾き臭の原因が「モラクセラ菌」であると紹介されていますが、先程の牛乳に含まれるタンパク質のように、臭いの原因というのはたった一つのものが影響するわけではありません。しかしモラクセラ菌は乾燥や紫外線に強く、酵母菌の一種であるため臭いが特に強烈です。また熱に弱い性質があるため、モラクセラ菌の対策をすれば臭いそのものの対策を図れることになります。
生乾き臭を解消する3つの「前提」
生乾き臭の対策をする上でその前提となるものを3つ紹介します。これを踏まえて対策しないと、いくら正しく干しても臭いは消えません。
- 熱
臭いの原因菌は50~60度のお湯に20分程度浸すと死滅することが明らかになっています。 - しっかり洗う
臭いの原因菌が餌としているのは人間の皮脂・脂肪です。それが除去されずに残っていると臭いが増殖します。 - 漂白
漂白することでも臭いが消えることから菌が死滅していると考えられています。
※明らかになっているわけではありません。
最も簡単な方法は「クリーニングに出す」ことです。特に「②」については、脂肪はあくまで油分なので奥底にまで染み込んだ場合それは家庭の洗濯で落とすのは難しいでしょう。脂肪分というのは通常の洗濯では「100%落とし切る」というのが難しいため、ドライクリーニング(有機溶剤)が家庭で行えない現状では、完璧な自己対策というのはできないのです。
どうしても無理な場合(又は時間が無い場合)でお気に入りの洋服は、クリーニングに出してしまい今後気を付けながら洗濯し、1年に一度でもクリーニングに出す方法によれば100点の対策です。

この洗い方が生乾き臭を引き起こしていた!
ここからは、多くの方が知らぬ間にやってしまっている(又はそれが「良い」と勘違いされている)方法について、その誤解を解説していきます。
洗剤・柔軟剤の量が多い
洗剤は多すぎると雑菌が繁殖します。特に最新のドラム式洗濯機においては本当に少量の洗剤でも汚れは落ちます。なぜならメーカーにとってそれが洗濯機の差を付けるポイントだからです。お湯で洗うことができたり、洗い方が独特であったり。ドライクリーニング以外の家庭洗濯で、100%の脂肪分や汚れを落とすことはできませんが、80~90%の汚れを落とすことはそんなに難しいことではないのです。また「洗剤」というのはその中で多くを占めるものではなく、多く入れたからよく落ちる、少ないから汚れが落ちない、というものでもないのです。
柔軟剤についても同様です。柔軟剤は香りの膜でコーティングする働きがあるため、むしろ臭いの原因菌を含んだ状態の衣類だと、かえって臭くなる可能性があります。例えば「香水」は柔軟剤と同じく、香りで皮膚を覆う「マスキング」によって匂いを演出します。しかしワキガの方が香水を使うと臭いが混在し不快に感じますがそれと同じ原理です。
お風呂の残り湯ですすぎをしている
お風呂の残り湯は「洗い」においては可ですが、「すすぎ」は不可。お風呂の残り湯にはたくさんの雑菌が含まれており、せっかく洗剤で洗い終わった後の衣類をその残り湯ですすいでしまっては元も子もありません。
風通しの悪い環境で部屋干し・夜干し
生乾き臭の原因は「部屋干し」だと一般的に考えられていますが、それ自体が悪いということはありません。その証拠に欧米では「外で洗濯物を干す」という文化はありませんし、ヨーロッパでは外で下着を干すと罰せられます。
そうした国々においては部屋で洗濯物を干すのは当たり前、また乾燥機を使うのも一般的です。日本でもタワーマンションが乱立し、景観を大切にする目的で、また防犯上の理由で(夜まで洗濯物を干していると留守が分かったり、下着泥棒の予防など)洗濯物を干さない家庭が増えています。
後述しますが、部屋干しでも正しく干せば生乾き臭は予防できます。また外で干せば生乾き臭が予防できるということでもありません。
洗濯機の容量オーバー
一人暮らしや共働きの家庭に起こりがちなのが「洗濯物を溜めてしまう」こと。それによって一回あたりの洗濯量が増えてしまうと、洗濯機が最大限のパフォーマンスをすることができず、洗い上がりも悪くなります。
当たり前ですが「干す量」も増えるため、洗濯物が密集した状態で干さざるを得なくなり、生乾きを自ら招いている状態となります。
洗濯機・洗濯槽が汚い
洗濯槽やフィルターなどが汚いと、それが洗濯時に送り込まれ臭いの原因になることがあります。特にドラム式洗濯機はとても便利ですが、メンテナンス箇所が多いため、2週間~1ヶ月の間に定期的に掃除してあげないと機能が半減します。
フィルター類もカビキラー等で除菌する必要があり、買ったばかりの洗濯機であっても臭うことがあります。ドラム式洗濯機に関するメンテナンス方法は以下でも紹介していますので参考にして下さい。
またこれを読んでいる方には大変失礼なお話になりますが、生乾き臭が起こりやすい家庭というのは、総じて洗濯機や洗濯槽も汚い可能性が高いです。
なぜなら生乾きというのは、洗剤や洗濯機など「モノ」が原因で起こるものではなく、あなた自身の生活習慣が形となったものだからです。忙しかったり、洗濯を疎かにしていたり、その背景は分かりませんが何かしら思い当たる点はあるはずです。「生乾き臭が消えない」という理由で洗濯機を買い換える方がたまにいらっしゃいますが、それが原因ではないためまた同じことを繰り返すことでしょう。
干し方のコツ

洗い上がったらすぐに干す
寝る前に洗ったり、仕事に行く前に洗ったり、洗ったのをそもそも忘れていたり…。
気持ちは十分分かりますが、洗濯カゴや洗濯槽内に長々と放置していると、雑菌はものすごいスピードで繁殖します。それからいくら抜群の日当たりで干したとしても生乾き臭は避けられません。
既に解説しましたが、臭い菌の一部であるモラクセラ菌は紫外線や乾燥に強い性質を持ちます。太陽の光に当てれば死滅する菌も確かに存在しますが、臭い菌は一つではないためそれでは不完全な対策なのです。「洗い上がったらすぐに干す!」これを肝に命じて取り組みましょう。
洗濯物に空気を送り込む
例えば物干しハンガーに隙間なく洗濯物を並べると、場所によっては“干しムラ”ができて、洗濯物によって生乾きのものと生乾きではないものが生まれてしまいます。
それを予防するために、物干しハンガーには多少余裕をもって全体に空気が行き届くように配置します。シャツ類など個別の洗濯物にハンガーを使う際は肩部分が太めのものを使用し、中に空気が送り込まれるよう工夫します。
部屋干しの場合は扇風機を真下に設置して、物理的に空気を送り込む方法でも生乾き臭対策になります。
部屋干しは部屋の中央で干す
先程も解説しましたが、部屋干し・夜干しは生乾きに影響しません。ポイントはすぐ干すことと、空気・風を送ることだけなので、その環境が部屋の中か外かは無関係です。
しかし部屋干しの際はできるだけ部屋の中央で干し、どこからでも風がやってくるように考えて干しましょう。扇風機・除湿機もそばに置いて、空気の循環にならった干し方ができれば部屋干しであっても生乾き臭は予防できます。
乾燥機を使う
生乾き対策として乾燥機は非常に有効です。実際に我が家もドラム式洗濯乾燥機に最近買い替えましたが、一切生乾き臭がしません。あまり推奨できるものではありませんが、乾燥まで一連の流れで行ってくれるため、それこそ寝る前や仕事に行く前にポチッとしておけば多少放置していても問題は無いです(シワの原因にはなります)。
タワーマンションに住んでいる方や、欧米・欧州では乾燥機がマストと言われています。ただ洗濯機と別に乾燥機を買うのはスペース的にも厳しいと思うので、洗濯機の買い替え時期に洗濯乾燥機を購入するのが最適だと思います。
