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ドライクリーニングって何?
ドライクリーニングとは、化学的溶剤を使って身体の油脂分や、空気中の排気ガスに含まれる有機物、油性物質などの不溶性の汚れを溶解して取り去るクリーニング方法です。
身近に感じるドライクリーニングに似た物をあげるとベンジンやシンナーです。 水を使わずに水とは正反対のこのような有機溶剤を使って衣類を綺麗にしようというのがドライクリーニングです。ですから、家庭ではドライクリーニングは絶対にできません!
ドライクリーニングのメリット
- 水洗いすると変化してしまうような衣類(シルク、ウール、レーヨン、キュプラ等)を安全に洗うことができる。
- 乾燥が早い。通常のドライクリーニング工程は、50~55度で30分程回転式乾燥機で乾かします。品物によっては、立体乾燥や自然乾燥をします。
- 乾燥後しわが少ないのでアイロン掛けがしやすい。
- 石油から作った溶剤なので 油汚れにはかなり強い。
ドライクリーニングのデメリット
水溶性の汚れが落ちにくい
水溶性の汚れとは、汗、お酒やジュース、お茶、スープ類、食べこぼしのシミ等があげられます。また血液も水を使わなければ絶対に落ちません。
溶剤管理が難しい
水洗いの場合、水に洗剤を溶かしその中に洗濯物を入れ汚れを溶かし出し、その水はほとんどの場合捨ててしまいますね。ドライクリーニング溶剤は、洗った後捨てずに再利用します(再利用の方法は、その機械によって色々あります)。その再利用するにあたっての溶剤管理が大変気を使うところです。
溶剤管理がしっかりと出来ていないといろんな弊害が発生します。例を上げると
- 白い衣類を洗うとずず黒くなってしまう。
- 襟、袖、の軽い汚れも落ちていない。
- つけたばかりのシミもそのままの状態で返ってくる。
- なんとなく「ムッ」とした変な臭いが付いて返ってくる。
これらは、酸化が進んだ汚れた溶剤で洗うと発生する内容です。キチンとした溶剤管理をしているところでは、そんなことはありませんのでそれらを目安に良いお店を探して下さい。
ドライクリーニングで用いる有機溶剤って何?

油汚れは油で落とすのが基本です。従って、ドライクリーニングが必要(水洗いできない、又は油汚れが目立つ)なものは特殊な有機溶剤(油)を使って落とすことになります。汗や皮脂汚れを目的にした洗い方ではありませんので、汚れの種類についても確認しましょう。
- 石油系有機溶剤
ドライクリーニングで扱っている有機溶剤の中でも毒性が低く、衣類への傷みが少ない。 - 塩素系溶剤(パークロルエチレン)
洗浄効果は石油系より高い。しかし毒性が高いため扱っているクリーニング店が限られてしまうことと、衣類によっては洗えないものがある。
有機溶剤は使い回しているって本当?
有機溶剤は法律で定められた特殊な油なので通常の洗剤と違ってそのまま捨てることができません。フィルターを透しながら再利用し、有機溶剤ではなくフィルターを定期的に交換しています。これを「溶剤管理」と言い、しっかり管理された溶剤は透明で、洗ったものが汚れることはありません。
ドライクリーニングの仕上がりでクリーニング店としての品質まで分かる
溶剤管理を徹底していないクリーニング店でドライクリーニングしても、余計に汚れてしまうことがあります。そのため良いクリーニング店を見分けるために、ドライクリーニング後の衣類を確認してみてください。
灯油のような臭いが残っていたり、少し黒っぽくなってしまう場合は「ドライクリーニングの品質が低い」と言えます。有機溶剤が衣類に残っていたり溶剤管理ができていないからです。ドライクリーニングの仕上がりでクリーニング店の良し悪しが分かります。
ドライクリーニングできない衣類
天然ゴムは有機溶剤で溶けて伸びる可能性があります。また染料の中には水ではなく油で溶けて色が薄くなるものがあります。他にもビニールレザー(PU・PVC)は柔らかくしていた加工剤が溶剤で溶けて硬くパリパリになってしまうことがあります。
そのためクリーニングに出すときには洗濯表示を必ず確認してください。
ドライマーク洗剤は「衣類を優しく洗い上げる」という意味のもので、「ドライクリーニング」とは明確に異なります。
ドライクリーニングを効果的に利用する
繰り返しになりますが、ドライクリーニングはクリーニング店でしかできない洗い方です。しかしドライクリーニングが推奨されている衣類でも、水洗いした方が良いものもあります。洗濯表示は100%「洗濯方法」を示すものとは言えないため、表示のまま素直にクリーニングに出すのは洗濯のプロとは言えません。クリーニング店では衣類に最適な方法で洗っているため、ときにはドライクリーニングよりウェットクリーニングを勧めることもあります。
また「ウェットクリーニングがドライクリーニングより劣っている」という意味ではありませんので誤解のないようにしましょう。これはクリーニング店で水やぬるま湯(場合によっては、お湯)を用いて衣類に出来るだけ型崩れ、縮み、風合いの変化等が起きないように静かに洗う水洗いのクリーニング方法です。
ドライクリーニングもプロとしての腕の見せ所ですが、このウェットクリーニングもよりプロの本領が発揮されるところです。しかし残念ながらクリーニング店の全てがやっているわけではありません。特に安価なお店ではドライクリーニングしかやっていない所も多いので詳しくはそのお店で聞かれたら良いでしょう。
ウェットクリーニングは、ドライクリーニングの苦手とする水溶性の汚れに威力を発揮します。例えば白い綿のブラウスの襟や脇の黄色くなったシミはウエットクリーニングでないと絶対に落ちません。特に洗濯表示を見ても洗い方がわからないものや、思い出がある洋服、高価な洋服はドライクリーニングもウェットクリーニングも両方行っているクリーニング店に出すようにしましょう。